このシリーズは男性が好きな女性をオトすためを目的に選んだ恋愛目的に役立つレストラン、Barを案内する連載記事である。
2回目はBAR。それも一言で言うと「小心男のためのBAR」
オトコって好きな女の子の前では実に意気地が無い。理由のひとつが〝視線が合うと緊張してしまい、気持ちを言葉に表せなくなる″という自意識過剰からくる照れ。視線を感じるのは相手の顔が見えるから。じゃあ、見えなくしちゃえばいいじゃん。
例えば月のない夜。街灯りも無い、自然の中であればコクることも、そのまま抱きしめることも照れずにできそう。そんなBARが渋谷にあったんだ。
【目次】
1.お化け屋敷効果?
2.ムードが作ってある店
3.評価
1.お化け屋敷効果?
【恋するレストラン、愛を語るBAR】プロローグ でセロトニンの分泌が弱まると不安に駆られると書いた。が、セロトニンは恋愛については弱まったほうが好都合。この店は女性を不安にさせ、貴方の腕を掴んでいたくなる「お化け屋敷効果」が期待できる店である。
店は六本木通り沿いを渋谷に向かい、トンネルをくぐり、実践女子大の先にあった。今はHAKKAビルとなっているが当時は出版社のビルだった。
そこは大変不便な場所で渋谷や青山の喧騒とはかけ離れた場所。そして店名の看板も何もない地下1階に降りて、錆びたような鉄の重い扉を開けるとそこがTANTRA。
真っ暗でほとんど灯りがない空間。お香の薫りが立ち込め、壁も漆黒で、ほんのりと灯りがついている小窓に人数をいうと席に案内されるというシステム。
席とはいっても椅子はなく、店員が小さな蝋燭を置いたその場所が僕らの席になる。その地べたに座るのだ。床は低い階段状になっている。周りを見渡すと、カップルがいるのがわかるが、顔までは見えない。隣の客との距離もそれなりにあり、コソコソとした会話しか聴こえてこない。BGMは静かなインストゥルメンタル。
TANTRAの空間はパオ風というモンゴルの移動式住居を真似た様式だった。
とにかく暗くて、メニューも小さな灯りを近づけてみなければ見えないほど。飲み物も床に置かれる。
そう、TANTRAはちょっとトリップしてしまいそうになる異空間だったんだ。
2.ムードが作ってある店
よく、「夜中に書いたラブレターは朝読み返すと恥ずかしくなる」と言うが、夜中とか闇とかは人の理性を揺らがせるのだろう。どのカップルも二人の世界に没入しているのがわかる。
女性はとかくムードに弱いと言われるよね。
ムードとは「視覚情報」「聴覚情報」「体感覚情報」に刺激を与えることで作れるもの。視覚はこの店の暗さとほのかな灯りでほぼ遮断されている。聴覚は店のヒーリング音楽が他の客の会話と混じり、これも万全。貴方は彼女に囁くように話せばいい。あとは体感覚。そっと彼女に触れるか触れないか、というスキンシップを試みよう。手に触れるか触れないか。服にかすかに触れる程度。そうしていると彼女に「焦らし」を与え、店の暗さと相まってギュッとされたくなるはずだ。
だからTANTRAは慣れすぎた彼女と来る店ではなく、キスもしていない女性との初接近で使える店だった。
3.【評価】TANTRA
①景観 | ★★★ | 真っ暗闇の店内は怪しさ満点。 |
②照明 | ★★★ |
照明といえるのは仄かな灯りだけ。ほのかに見える。彼女の顔がいつもにも増して美しく見える。 |
③他の客との距離 | ★★★ | 見えないんだからそれすら感じない。 |
④ホスピタリティ | ★★★ | 店員はほぼ無言。オーダーを取る時だけ席に来る気の遣いよう。 |
⑤BGM | ★★ | 雰囲気を壊さないヒーリング曲。 |
⑥立地 | ★★★ | わかりづらく、渋谷のガキどもから隔絶されているのがいい。 |
⑦抱擁スポット | ★★★ | 外には無い。店内すべてが抱擁スポット。 |
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